司法書士に相続登記を依頼する場合、遺産分割協議書の作成も司法書士がおこなうのが通常です。相続人がご自身で作成した遺産分割協議書では記載に誤りがあるものも多く、相続登記の手続きに支障を来すこともあります。

また、多くの司法書士が使用している不動産登記用の業務システムでは、遺産分割協議書の作成をする際の当事者(被相続人、相続人)や不動産の表示の入力が自動的におこなわれます。そのため、遺産分割協議書だけを一から作るのに比べ、を迅速かつ正確に書類作成をすることができます。

それでも、相続人がご自分で遺産分割協議書を作成するのであれば、相続人全員による署名押印をしてしまう前に、司法書士などの専門家による確認を受けることをお勧めします。また、些細な誤りがあった場合に訂正印として使用できるよう、用紙の余白などに捨印を押しておくのも1つの方法です。

相続登記のための遺産分割協議書の基本書式

相続登記に使用するための遺産分割協議書の基本的な書式は次の通りです。作成した遺産分割協議書へは、相続人全員が署名および実印により押印し、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書(例)

最後の本籍  千葉県松戸市松戸○番地の○  (注1)
最後の住所  千葉県松戸市松戸○番地の○
被相続人  甲野 太郎 (平成  年  月  日亡)

  上記被相続人の遺産について、共同相続人間において遺産の分割について協議をした結果、次のとおり決定した。

1.相続人甲野一郎が取得する相続財産

所在  松戸市○○一丁目  (注2)
地番  ○○番○
地目  宅地
地積  ○○.○○㎡

所在  松戸市○○一丁目○○番地○
家屋番号  ○○番○
種類  居宅
構造  木造瓦葺2階建
床面積  1階○○.○○㎡  2階○○.○○㎡

  以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成し、署名捺印する。

平成○年○月○日

千葉県柏市柏1丁目○番
相続人 甲野 花子 (印)  (注3)

千葉県流山市流山1丁目○番地
相続人 甲野 一郎 (印)

注1) 被相続人の最後の本籍最後の住所氏名死亡年月日を記載します。最後の本籍は戸籍(除籍)謄本、最後の住所は住民票(除票)の通り正確に記載します。本籍、住所は松戸市松戸1176-2のように省略せず、「1176番地の2」のように住民票などに記載されている通り正確に書いてください。

注2) 不動産の表示は、登記簿謄本(登記事項証明書)の通り正確に記載します。必ず書くべき項目は、土地であれば所在、地番、地目、地積、建物については所在、家屋番号、種類、構造、床面積です。

注3) 住所は住民票(または、印鑑証明書)の通り正確に書きます。そして、自筆で署名し、実印で押印します。押印は氏名の後ろにしますが、さらに、用紙上部の欄外などに捨て印を押しておけば、軽微な誤りがあった場合に訂正印として使用することができます。

遺産分割協議書に関連する記事

数次相続の場合の肩書き(遺産分割協議書の記載例)
代償分割をする場合の遺産分割協議書の記載例